春来たる君の軌跡

統合失調症を発症するも回復し、日々前向きを目指しているお兄さんです。

臨床治験体験記2

治験入院後の医療保護入院でのもう一つの出来事です。その日、日本テレビ24時間テレビが放送されていたのだが、その放送も特別な目的で行われていると思い込みが始まりました。地球をどう救うかが大テーマで地球が無くなる前に研究者達が一分一秒をかけて記録と更新作業を行い次の人類継続に繋げる努力を行っている研究対象が僕にあると思っていた。何年か先には地球が無くなるのだが、この病棟にいる看護師と患者数名が生き残ることとなり、医師と研究者の力によりそこから新しい文明が作られていくという意識になり、一からのスタートの為に僕らだけが研究対象として生き残るという思い込みであった。 

世の中の全てが無くなるので一から作り出す為には今の記録を基にしていく為に僕の行動、考えが記録されていっているということで、現在僕が立っている場所、僕の見た目、僕が最初に話す言葉が全ての始まりになるということで記録される。 

僕の最初に話す言葉は津軽弁の私を意味する「わ」にしようと思い「わ」とつぶやき、祈りを捧げる格好も記録として残そうと膝をついて手を合わせる格好をした。この時、僕は神なのだと思った。退院して新しく出会った精神疾患に詳しい人と話をした時に自分は神だと思ったことがあるでしょ?と話が出た時は統合失調症患者は少なからずこういう体験があるのだなあと当時のことを思い出した。 

急に膝をついて手を合わせたりしている様子を見ていた看護師が僕に近寄りそっと背中に手を回し病室に連れ行こうとしてきた。 

僕はいよいよこの世から居なくなる気持ちになり切羽詰まった感情になった。息苦しくなり外の空気を吸おうと窓の近くに身を持っていくと看護師たちが集まり僕の体を抑えた。 

新しい世界で必要なものを頭の中で考えた時に体が勝手に空気を求めたのかと思う。あと水も必要ということで水もつぶやいた。 

看護師の僕を抑える手が少し強かったので、僕のイメージする神の言い方で優しく、強いよ強いよと言うと一人の看護師が笑いそうになっていた。 

僕も落ち着きベッドに横になるのだが、すると今まで一分一秒を記録していたのも終わり、研究者達はすでに先の方へ進んでいった感覚になり地球が無くなることは考えなくても良い心境になった。 

僕は世界のどこかでは地球、宇宙規模で様々な研究が行われていて、誰も想像もできないような進化した未来計画が進んでいると思う。 

僕の体験したこの感覚も世の中では同じ体験をした人もいるだろうし、珍しいことではないと思っている。 

僕の参加した臨床治験の薬は結局認可されていない。 

愛する人がいる中で僕がもう一度臨床治験をやるかと問われた時に、すぐにはやるとは今は言えないと思う。 

普段皆さんが飲んでいる薬も数多くの人が携わり認可されて色々な場面で使われていると思うとまた考え方も変わるかもしれませんね。 

何よりも今日無事に生きていることに感謝します。 

入院でお世話になった医療スタッフの方々に敬意を込めて。