春来たる君の軌跡

統合失調症を発症するも回復し、日々前向きを目指しているお兄さんです。

結婚に至るまで

ソラの入院という事態になり、面接していた会社は採用になったが入社時期を遅らせてもらうことにしていただいた。 

ソラの入院初日様子を見に行くと大部屋の一角のベッドの上の隅に身を縮めて恐怖に追われているように横になっていた。こんな姿は想像していなく、よっぽど追い詰められていたのではと可哀そうであり、それとともに気づけなかった自分が情けなくなった。なんと声を掛けていいのか思いつかずにいて、看護士さんに大丈夫なんですかと聞くと、明日は個室に移動になります、まだ本人も混乱していると思いますよ。とのことでこの日は話しかけずに家に帰った。 

次の日行くと個室になっていたがソラは放心状態で言葉を発することができなくなっていた。 

ソラ、わかるか?と聞いても答えてくれず意識があるのかわからなかった。体はおしっこの管を入れられていて点滴もしていたと思う。僕は入院二日目しか経っていなかったが、このままソラが言葉を話せなくなるのではというマイナス思考になってしまい、帰宅しても一人落ち込んで過ごした。三日目行くと手首と足に拘束をされていたと思う。まだ意識はなさそうだったがソラ、わかるか?と聞くと涙ぐんだ様に見えて僕もそれを見て涙ぐんだ。 

四日目行くとソラ、わかるか?と聞くと、うんとうなずいてくれた。一言二言話してくれたが辛そうだった。その後五日目、六日目と行くうちに体を起こしたり立ち上がったりできるようになり会話も少しずつできるようになっていた。 

ソラはよく壁に貼ってある入院日と担当医の記録の文字を確認して、入院日はいついつですね、主治医はなになに先生ですね、と口癖のように繰り返していた。僕はそうだねと返してそれが日常になっていた。 

ソラが元気になってくると安心感が出たのとともに一人の夜が寂しく、よく同級生の経営している居酒屋に行って気を紛らわしていた。 

顔なじみのみんなと話して次の日朝からお見舞いに行く。病院までは往復一時間くらいはかかるがソラは病室で寂しいだろうし、僕がソラの顔を見たくて毎日面会に行った。 

ソラの両親と病院で会ったり家に招かれたりしてお父さんと話す時間も増えていて酒を飲みながら今後の話もしたりした。 

ソラが段々と回復していくと退院したら入籍しようと二人で約束した。 

プロポーズは病室だったがキスをした。 

あの二ヶ月弱の入院生活で僕はソラへの愛しさを知った気がする。ソラが元気に話してくれた帰り道、嬉しくて運転しながら涙が溢れたこともあった。こんなに人のことを愛することができるのだと知ることができたのは人生の宝になったと思う。 

ソラは入院中の病状は抑うつ状態ということだった。 

体調を崩すほど頑張らなくてもいいというのは僕たち経験者はわかります。人は一人じゃない。誰かに必要とされている、ありのままで愛されている。安心して穏やかに暮らせる日々を大切に思いましょう。 

ソラが退院した数日後のソラの誕生日に僕たちは結婚しました。 

今は夫婦という形ではなくなったがかけがえのないパートナーではあり続けています。